年内入試対策

調査書の書き方|教員のための記載ポイントと注意点【2027年度入試対応】

2026.10.12 更新日:2026.10.12
文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」の別紙様式1と記入上の注意事項に基づき、調査書の各欄(学習の記録・出欠・特別活動・指導上参考となる諸事項)の書き方、事実の記録として書く原則、点検手順、チェックリストと記載文例をまとめました。

調査書は、高等学校生徒指導要録に基づいて高校が作成し、校長の責任で大学に提出する「事実の記録」です。推薦書のように評価の言葉で生徒を推す書類ではなく、指導要録の内容を様式に沿って正確に転記・要約することが求められます。本記事では、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」の別紙様式1と記入上の注意事項に基づき、各欄の書き方、事実の記録として書く原則、原案作成から校長印までの点検手順、チェックリストと記載文例をまとめました。提出方法や部数は大学ごとに異なるため、必ず当該大学の2027年度募集要項でご確認ください。

現場の課題

「指導要録と数字が合わない」「諸事項欄に推薦書のような評価語を書いてしまう」「訂正の処理が人によって違う」といった不備は毎年起こります。原因の多くは、書き方の基準と点検の分担が校内で共有されていないことです。

調査書の位置づけ|実施要項の記述と推薦書との違い

実施要項が定める調査書の性格

文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日 8文科高第318号)の「第5 調査書」では、各大学は「在籍する高等学校が高等学校生徒指導要録(以下「指導要録」という。)に基づき別紙様式1により作成した調査書の提出を求める」とされています。記入上の注意事項の基本原則は、次の3点です。

  • 「調査書は、高等学校生徒指導要録(以下、「指導要録」という。)等に基づき、この様式により作成すること。」
  • 「調査書は、個人的主観にとらわれたり、特別の作為を加えたりすることのないように作成すること。」
  • 「調査書は、ホームルーム担当教員等が原案を作成し、関係教員をもって組織した調査書作成に関する委員会の審議を経て、高等学校長が作成し、その責任において、大学に提出すること。」

記載責任者と訂正については「記載責任者職氏名は、必ず記載し、押印すること。なお、記載内容を訂正した場合は、訂正箇所に校長の印を押印するとともに、欄外に加除字数を表示すること。また、紙を貼り足した場合も、校長の印で割印をとること。」と定められています。電子的な提出は、大学と高校が個別に合意した場合に「別紙様式1に記載すべきこととされている事項を全て電磁的に記録した調査書」の提出を求めることができ、その場合は校長及び記載責任者の押印は不要とされています。また、大学には「調査書の他の記載事項も有効に活用する」ことが求められており、評定以外の欄も選抜資料として読まれる前提で作成します。年内入試の制度全体については、「年内入試とは?大学受験の新しいスタンダード」で確認できます。

推薦書との役割の違い

観点

調査書

推薦書

性格

指導要録に基づく記録

学校としての評価・推薦の言葉

様式

実施要項の別紙様式1(共通)

大学ごとの様式

文体

事実を箇条書きで必要最小限に

事実と評価をセットで文章化

評価の言葉は推薦書に委ね、調査書には根拠となる事実を残します。推薦書については、「推薦書の書き方|教員のための依頼対応と文例【2027年度入試対応】」をご覧ください。

各欄の書き方|別紙様式1に沿った記載の要点

各教科・科目等の学習の記録と学習成績の状況

教科名・科目名は「指導要録に基づいて記入すること」、評定は「5、4、3、2、1の5段階で表示すること」とされています。修得単位数は「修得を認定した学年ごとの単位数の計」を記入し、卒業見込みの者で最終学年の修得単位が未決定の場合は「当該学年における履修単位を修得したものとして計算する」とされています。最終学年の成績が未決定の場合は「直近の成績を総合し、高等学校として判定した成績」を記入します。

各教科の学習成績の状況は「各教科ごとに各科目の評定の合計数を各教科の評定数で除した数値(小数点以下第2位を四捨五入)」、全体の学習成績の状況も同様にすべての教科・科目の評定から算出し、学習成績概評はA〜Eの5段階です。文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項等に関するQ&A」(以下「Q&A」)では、廃止された「Ⓐ」が付された調査書は「A」として扱うとされており、校務支援システムの設定が旧区分のままでないかどうかの確認が必要です。

出欠の記録

出欠は「指導要録該当欄の記載事項を転記する」のが原則で、卒業見込みの者の最終学年は直近の学期末(または成績を判定した時点)現在の状況を記入し、「その旨を備考欄に明示すること」とされています。注意事項とQ&Aによれば、「出席停止・忌引き等の日数」と「授業日数」は記載せず、欄は削除せずに空欄とします。病気・事故等による欠席は、実施要項で大学に対し、志願者本人に帰責されない身体・健康上の理由によるやむを得ない欠席日数を把握した場合には「志願者本人が不利益を被ることがないよう配慮する」ことを求めており、Q&Aでは高校が備考欄にその理由を記載するとされています。なお様式末尾の備考欄は、学習指導要領によらない特別な教育課程の編成を行っている高校や単位制による課程を置く高校がその旨を明示する欄です。

総合的な探究の時間の記録

「総合的な探究の時間に行った学習活動及び各学校が自ら定めた評価の観点を記入した上で、生徒の学習状況に顕著な事項がある場合などにその特徴を記入する等、生徒にどのような力が身に付いたかを端的に記入する」欄です。「活動」「観点」「身に付いた力」の3点を短く記します。

特別活動の記録

ホームルーム活動・生徒会活動・学校行事について、各学校が設定した観点を記入した上で「評価の観点に照らして十分に満足できる活動の状況にあると判断される場合には、○印を記入すること」とされています。○印は指導要録の評価どおりに記します。

指導上参考となる諸事項

この欄は「指導要録と同様に、要点を箇条書きするなど、その記載事項を必要最小限にとどめる」ことが求められ、生徒の特徴・特技や学校外の活動等は「学習指導等を進めていく上で必要な情報として精選して指導要録に記述された内容を基に記入する」とされています。留学は「留学期間及び留学先の国名、学校名」、休学は「校長が許可した期間」を記入します。現行の様式には項目ごとの小見出しが印字されていないため、学習・行動の特徴、部活動・ボランティア・留学、資格・検定、表彰、探究の発表実績の並べ方は各校の判断です。一般的な運用例は、学年ごとに「いつ・どの立場で・何を」を1行ずつ箇条書きにする方法です。

「事実の記録」として書く原則

  1. 推測・主観の評価語を書かない:「意欲的」「将来性が高い」は評価であって記録ではありません。「〇年次 生徒会副会長」のように立場と事実を書きます。
  2. 学校が確認した事実に限る:資格・検定は合格証等で、表彰は主催者と大会名で確認できるものに限ります。
  3. 指導要録と一致させる:科目名・評定・単位数・出欠・○印・諸事項はすべて指導要録が原本で、調査書だけに書かれている事項を作りません。
  4. 数値は転記後に再計算する:評定の合計・平均の丸め、修得単位数の学年計、出欠の日数は、システム出力でも入力者以外の人が指導要録と突き合わせます。

作成から点検までの実務手順

  1. 原案の作成(担任):指導要録と校務支援システムから様式に出力し、諸事項欄の箇条書きを整えます。
  2. 本人確認事項の確認:氏名の字体・生年月日・現住所など、本人でなければ確認が難しい項目を作成前に確認します。記載内容の確認範囲は各校の規程によります。
  3. 教科担当・顧問への照会:最終学年の判定成績、部活動の役職・大会実績、資格・検定の取得時期を担当者に確認します。
  4. 点検(原案作成者とは別の教員):資料1のチェックリストに沿って、数値と表記を指導要録と照合します。
  5. 委員会審議と記載責任者の記載・押印:注意事項が求める委員会の審議を経て、記載責任者職氏名を記載し押印します。
  6. 校長印と発行:校長印を押印し、訂正がある場合は訂正箇所の校長印と欄外の加除字数表示を確認します。提出方法(厳封して本人に渡す、高校から送付する、電磁的記録で提出する)は大学ごとに異なるため、募集要項の指示を進路指導部で一覧化します。

出願書類全体の確認手順については「年内入試 出願書類の最終チェックリスト|記載ミス・不備トラブルを防ぐ教員の確認手順(2027年度入試対応)」、年間の日程については「【2027年度】高3生の年内入試スケジュール完全版|出願〜合格の月別タイムライン」をご覧ください。

そのまま使える資料

資料1:調査書点検チェックリスト

欄

点検項目

照合先

確認者

基本情報

氏名の字体・生年月日・現住所・学科名・卒業(見込み)年月

指導要録・本人確認

担任

学習の記録

科目名が指導要録と一致、評定は5段階、学年ごとの修得単位数の計

指導要録

点検者

学習成績の状況

教科別・全体とも評定合計÷評定数を小数第2位で四捨五入、概評はA〜E

再計算

点検者

探究・特別活動

活動・観点・身に付いた力の記載が端的、○印が指導要録と一致

指導要録

点検者

諸事項

箇条書き・必要最小限、評価語なし、留学は期間・国名・学校名、休学は許可期間

指導要録・確認資料

担任→点検者

出欠・備考

指導要録から転記、出席停止・忌引き等の日数と授業日数は空欄、最終学年の時点と欠席理由(該当時)を備考に記載

指導要録

点検者

責任・押印

記載責任者職氏名の記載・押印、校長印、訂正箇所の校長印と加除字数、貼り足しの割印

注意事項

管理職

提出

部数・厳封・送付方法・電磁的記録の可否が募集要項どおり

各大学の募集要項

進路指導部

資料2:指導上参考となる諸事項の記載文例

指導要録の事実を基に箇条書きで短く記す例です。名称・数値は各校の記録に置き換えてください。

  • 探究:「2年次 探究の時間で地域の交通量調査を実施。3年次 〇〇(主催者名)主催の高校生研究発表会で口頭発表」
  • 部活動:「吹奏楽部 1〜3年次在籍。2年次よりパートリーダー。3年次 〇〇県吹奏楽コンクール〇〇部門出場(金賞)」
  • 委員会:「2年次 文化祭実行委員。3年次 生徒会副会長(〇年〇月〜〇年〇月)」
  • 資格・検定:「実用英語技能検定2級(〇年〇月取得)、日本漢字能力検定2級(〇年〇月取得)」
  • 留学:「〇年〇月〜〇年〇月 留学(〇〇国 〇〇高校)」
  • ボランティア:「1〜3年次 〇〇市社会福祉協議会主催の清掃活動に参加(計〇回)」

資料3:NG例と修正例

NG例

何が問題か

修正例

リーダーシップがあり、部員から厚く信頼されている

主観的な評価語で事実がない

サッカー部 3年次主将

将来は医療分野での活躍が期待される

推測・将来予測

3年次 〇〇病院の高校生職場体験に参加(〇日間)

英検は準1級程度の力がある

取得していない資格の見込み

実用英語技能検定2級(〇年〇月取得)

3年次の出欠欄に年度末までの見込み日数を記入

注意事項に反する

直近の学期末時点の日数を記入し、その時点を備考欄に明示

ケース別の判断

【ケース1】転入生

注意事項では、編入学及び転入学の場合はその学年を( )内に記入するとされています。前籍校の記録は転入時に受け取った指導要録の写し等を原本として転記し、科目名を本校の科目名に書き換えません。

【ケース2】欠席が多い生徒

日数をそのまま転記し、減らしたり理由を推測で書いたりすることはしません。病気・事故等の本人に帰責されない理由がある場合は備考欄に記載します。Q&Aでは大学が募集要項に欠席理由の申し出を受け付ける旨を記載するとされており、該当する生徒には出願先の募集要項を確認するよう伝えます。

【ケース3】評定に訂正が生じた

発行前であれば、訂正後の指導要録に基づいて作り直すことが基本です。発行済みの調査書を訂正する場合は「訂正箇所に校長の印を押印するとともに、欄外に加除字数を表示」し、評定→教科平均→全体平均→概評の連鎖を点検者が追って再計算します。発送後に気づいた場合は、自己判断で差し替えを送らず、大学の入試担当窓口の指示を受けて記録を残します。

【ケース4】記載内容について生徒・保護者から問い合わせがあった

開示の可否や方法は各校の規程と設置者の個人情報保護の定めに従います。担任が個人の判断で内容を伝えたり書き換えたりせず、管理職に報告し、校内の手続きに沿って指導要録の記録に基づいて説明します。

【ケース5】複数大学に出願する生徒の部数

出願先ごとに1通必要になるのが一般的な運用例で、部数・厳封・有効期限の扱いは大学ごとに異なります。出願予定を早めに把握し、発行日と部数を進路指導部で一覧管理します。

よくある質問

Q. 調査書の校長印は電子印鑑でもよいですか?

A. Q&Aでは、校長印について「各学校の文書規則等に基づき真正性が証明できるようご対応ください」とされています。各校の文書規則と提出先大学の指示に従ってください。

Q. 諸事項欄に書ききれない場合、別紙を添付してもよいですか?

A. Q&Aでは、枠や文字の大きさは任意とされる一方、両面1枚が原則で、やむを得ず別紙が必要な場合は提出先大学に確認することとされています。諸事項欄は「必要最小限にとどめる」欄ですので、まず記載事項の精選を優先してください。

Q. 高1・高2の段階から準備できることはありますか?

A. 活動・資格・表彰を確認資料とともに年度ごとに指導要録へ記録しておくことが、そのまま高3の調査書作成の準備になります。基本情報の確認や諸事項欄の記載順序の校内統一も早い段階で整えておくことができます。

まとめ

調査書は、指導要録に基づき、主観や作為を加えず、校長の責任で提出する事実の記録です。評価の言葉は推薦書に委ね、調査書には根拠のある事実を箇条書きで必要最小限に記す——この役割分担を校内で共有し、原案作成者と点検者を分けて数値を再計算し、押印・校長印・訂正処理を管理職が確認する流れを型にしてください。提出方法・部数は大学ごとに異なるため、必ず当該大学の2027年度募集要項でご確認ください。

参考・出典

※ 本記事は2026年9月時点の公表情報に基づいています。調査書の様式は実施要項の別紙様式1によりますが、提出方法・部数・厳封・電磁的記録の可否・訂正時の扱いは大学ごとに異なるため、必ず当該大学の2027年度(令和9年度)募集要項でご確認ください。本記事の記載順序・点検の分担・文例は一般的な運用例であり、各校の規程・校務支援システムに合わせて調整してください。最終更新:2026年9月

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