入試データ・動向

【2027年度】共通テスト利用型の年内入試 実施大学まとめ|国公立の学校推薦型を中心に

2026.07.24 更新日:2026.07.24

共通テスト利用型の年内入試とは|まず全体像をつかむ

総合型選抜・学校推薦型選抜のなかで、大学入学共通テストのスコアを評価に使う「共通テスト利用型」の年内入試が広がっています。文部科学省が求める「学力の3要素」(知識・技能/思考力・判断力・表現力/主体性)をバランスよく評価する流れのなかで、客観的な学力指標として共通テストを取り入れる大学が増えているのが背景です。とくに国公立大では、共通テストを課す(あるいは共通テストだけで受けられる)学校推薦型・総合型が一般的で、私立大でも書類・面接に共通テストを加味する方式が徐々に増えています。

本記事は、進路指導にあたる高校・塾の先生に向けて、「どの大学が共通テスト利用型を実施しているか」というデータ面に絞って整理します。共通テスト利用型の「仕組み」そのものを詳しく知りたい場合は、関連記事「共通テスト利用型の総合型・推薦とは?」をご覧ください。年内入試全体の変更点は「2027年度 年内入試の変更点」で扱っています。

本記事の対象は2027年度入試(令和9年度)です。本文で紹介する大学・方式は、2027年度(令和9年度)の入学者選抜要項等が公表されている大学のみを掲載し、内容はその公表資料にもとづいています。要項が未公表の大学は「要項公表待ちの大学」として記事末尾に整理し、公表され次第、本記事に順次追記・更新します(最終更新:2026年7月)。出願前には必ず各大学の最新要項をご確認ください。

「共通テスト利用型」を見分ける3タイプ

共通テスト利用型といっても、共通テストの使われ方は大学・学部・方式によってさまざまです。指導の入口として、まず次の3タイプで整理すると理解が早まります。

  • ①共通テストのみ型:書類・面接に加え、共通テストの得点で合否を判定するタイプ。独自の学力試験は課さず、共通テストが実質的な学力評価になります。国公立の学校推薦型に多く見られます。
  • ②共通テスト+書類・面接型:志望理由書・調査書・面接などの総合評価のなかで、共通テストを一定割合で加味するタイプ。共通テストが「足切り」や加点として働くことが多く、点数化の比率は大学ごとに異なります。
  • ③共通テスト+独自試験型:面接・小論文・論述など大学独自の課題と、共通テストを併用するタイプ。静岡大学の学校推薦型選抜(共通テストを課す)のように、共通テストに加えて原則面接(学科により論述試験等)を課す設計がこの型です。

いずれの型でも共通する最大のポイントは、「合否判定は共通テスト後(=年明け)になる」ことです。出願時期も大学により「年内(秋〜冬)」と「共通テスト後(1月)」に分かれます。「出願・準備は年内に動くが、結果は年明け」というスケジュールを、生徒・保護者に正しく伝えることが指導の起点になります。

【一覧】共通テストを課す国公立の学校推薦型(2027年度要項 公表済みの大学)

国公立では、評定平均などの出願要件はあるものの、学力試験としては共通テストだけで出願できる学校推薦型を設ける大学があります。「一般選抜ほど科目負担が重くなく、共通テストの結果で国公立をねらえる」ため、指導上の選択肢として押さえておきたい方式です。下表は、2026年7月時点で2027年度(令和9年度)の入学者選抜要項が公表されている大学を、公表資料にもとづいて整理したものです(学部・方式により共通テストの扱いは異なります。出願前に必ず各大学の最新要項をご確認ください)。

大学

区分(2027年度)

共通テストの扱い・主な要件(2027年度要項より)

日程(出願/合格発表)

横浜市立大学

公募制学校推薦型選抜(国際教養30名・国際商15名・理13名・データサイエンス17名※2027年度新規導入)

共通テスト(1,000点・学部別配点)+書類審査で判定。面接なし。専願・学校長推薦。

2027年1月5日〜22日出願/2月10日発表

小樽商科大学

学校推薦型選抜(商学部 昼間コース:一般枠85名・専門学科/総合学科枠10名)

共通テスト+自己推薦書・調査書・推薦書で判定(個別試験・面接なし)。評定:全体4.0以上(または3.8以上かつ国数外いずれか4.3以上)。専願・現役のみ。

2027年1月14日〜21日出願/2月8日発表

東京海洋大学

学校推薦型選抜A(海洋生命科学部 海洋政策文化学科・2名)

個別試験なし。共通テスト(1,000点満点・基準点700点)+推薦書・調査書・志望理由書等で総合評価。専願・英語資格等の出願要件あり。

2027年1月25日〜2月3日出願/2月10日発表

静岡大学

学校推薦型選抜(共通テストを課す):人文社会科学・教育・情報・理・工・農・グローバル共創科学の各学部(学科により実施)

共通テスト(学科により3教科3科目〜7教科8科目)+原則面接(経済学科は論述試験等、学科により異なる)。

学部・学科により異なる(要項参照)

同じ大学でも学部・学科・方式ごとに「共通テストを課すか」「何教科課すか」「専願か併願か」が異なります。表は「候補を絞る出発点」として使い、実際の指導では必ず各大学の2027年度要項の該当ページに当たってください。

スケジュール面では、共通テストを課す学校推薦型は出願時期が大学により「年内(秋〜冬)」と「共通テスト後(1月)」に分かれ、合否はいずれも共通テスト後の年明け(2月上旬〜中旬)になります。上表の4大学はいずれも共通テスト後に出願する設計です。「年内に候補を確定 → 共通テストで仕上げ → 年明けに出願・合否」という流れを前提に、共通テスト本番までの演習計画を立てることが重要になります。

要項公表待ちの大学(公表され次第、順次追記します)

次の大学は、2026年度(前年度)入試で共通テストを課す学校推薦型を実施しましたが、2026年7月時点で2027年度要項が未公表のため、本一覧には掲載していません。公式発表を確認のうえ順次追記します。

  • 東京農工大学:2027年度入学者選抜要項は7月下旬、学校推薦型選抜の募集要項は8月下旬発表予定(公式サイトより)。先行公表されている「2027年度工学部学校推薦型選抜パンフレット」では、工学部6学科・計33名、面接・小論文なしで共通テストの得点順に合格を判定する設計が示されています。
  • 大阪公立大学:要項は未公表ですが、「2027年度入試情報(予告)」で、現代システム科学域知識情報システム学類の学校推薦型選抜が面接を廃止し共通テスト+出願書類のみの判定に変わること、心理学類の学校推薦型選抜に共通テストが新規導入されることが公表されています。
  • 名古屋大学:令和9年度入学者選抜要項は未掲載(例年7月頃公表)。
  • 岐阜薬科大学:令和9年度選抜要項は7月下旬頃、学校推薦型選抜B(共通テストを課す)の募集要項は10月下旬頃公表予定(公式サイトより)。

なお、宮崎公立大学は2027年度から、学校推薦型選抜Ⅱ(全国枠)を「共通テストを利用する方式」から「共通テストを利用しない方式」へ変更すると公表しています(小論文+面接+書類で判定、2026年12月9日合格発表の年内型に変更)。前年度の情報のまま「共テ利用で受けられる」と案内しないよう注意してください。

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共通テストを「課す」総合型選抜の例と注意点

学校推薦型だけでなく、総合型選抜でも共通テストを課す(または受験を必須とする)大学があります。この扱いは「合否判定に用いるか」「入学後の学修の目安として用いるか」で分かれるうえ、年度によって変わりやすい点に注意が必要です。たとえば横浜市立大学データサイエンス学部では、2027年度から総合型選抜の第3次選考(共通テスト)を廃止する一方、共通テストを課す公募制学校推薦型選抜を新規導入しています(2027年度入学者選抜要項より)。要項の文言を丁寧に読み、「共通テストの点数が合否に直接効くのか」を必ず確認してください。

総合型では、共通テストに加えて志望理由書・活動実績・小論文・面接・プレゼンテーションなど多面的な評価が組み合わされます。2027年度入試からは、文部科学省の通知により総合型・学校推薦型で「面接」が原則必須化されます(面接にはディベート・集団討論・プレゼン・口頭試問・オンラインも含まれます)。共通テストの演習と並行して、面接・小論文などの非学力要素の準備も早めに進める必要があります。面接対策は「面接指導(面接必須化対応)」、志望理由書は「志望理由書の書き方」、小論文は「小論文指導の3ステップ」もあわせてご覧ください。

私立大学の共通テスト利用について

私立大学では、共通テスト利用入試そのものが広く普及しています。ただしその多くは一般選抜の共通テスト利用方式で、総合型・学校推薦型(年内)での共通テスト利用は、国公立ほど一般的ではありません。とはいえ、書類・面接に共通テストを加味する私立大も少しずつ増えており、年内入試でも一定の学力を担保する方向は私立でも進んでいます。指導では「私立=共通テストなしの年内入試が中心」と決めつけず、志望校の方式を個別に確認することが大切です。

情報Ⅰの対策については、「共通テスト「情報Ⅰ」の指導対応」で詳しく解説しています。

合否は年明け|スケジュール指導の注意点

共通テスト利用型で最もトラブルになりやすいのが、合否時期のズレです。共通テストのみ型・共通テスト+書類型は「年内〜1月に出願 → 1月に共通テスト受験 → 2月上旬〜中旬に合否」という流れになります(2027年度要項公表済みの横浜市立大・小樽商科大・東京海洋大はいずれも共通テスト後の1月出願・2月発表)。生徒・保護者が「推薦=年内に結果が出る」と思い込んでいると、共通テストへのモチベーション管理を誤りかねません。指導では次の点を早めに共有しましょう。

  • 合否が出るまで共通テスト対策を緩めない:共通テストの結果で合否が決まる方式では、共通テスト本番が「本命の試験」です。出願を終えても学習の手を緩めないよう伝えます。
  • 専願・併願の別を要項で確認:共通テスト利用型の学校推薦型には「合格したら必ず入学(専願)」の条件が付くことが多く、一般選抜との併願計画に直結します。専願を見落とすと出願戦略が崩れます。
  • 一般選抜との出願重複を管理:合否が年明けに出るため、共通テスト利用型が不合格だった場合の一般選抜の出願締切に間に合うよう、あらかじめ併願プランを組みます。「年内入試×一般選抜 併願者の指導の進め方」もご参照ください。
  • 共通テスト受験科目の取りこぼし防止:課される科目を1つでも受け損ねると出願・判定の対象外になります。志望校の指定科目を早期にリスト化し、時間割の確認まで指導に含めます。

これらは口頭だけでなく、生徒ごとに「出願日/共通テスト日/合否発表日/併願先の締切」を1枚の表にまとめると、認識のズレを防げます。年内入試全体の時間軸は「年内入試スケジュール2027」でも整理しています。

実施大学の探し方|一次情報の確認手順

共通テストを課すかどうかは大学・学部・方式ごとに異なり、毎年少しずつ改定されます。指導の際は、次のソースで2027年度入試の最新要項を確認しましょう。一次情報(各大学公式)を軸に、横断検索ツールで候補を広げるのが効率的です。

  • 各大学の入学者選抜要項(公式):最優先の一次情報。「共通テストの利用有無」「課す科目」「配点比率」「専願・併願」を必ず原典で確認します。国公立の選抜要項は例年7月頃、方式別の募集要項は夏〜秋に順次公表されます。
  • 大学入試センターの公表情報:共通テストを課す大学・教科科目の情報を横断的に確認できます。
  • 検索のコツ:「大学名+学校推薦型選抜+2027」のように年度と方式名を組み合わせて検索すると、公式要項へ素早くたどり着けます。民間の進学情報サイト等は前年度の情報が残っていることがあるため、候補出しの補助にとどめ、最終確認は必ず大学公式で行ってください。

候補校を1校見つけたら、次の5つのチェック項目を要項で必ず確認してください。この5点を生徒カルテに記録しておくと、面談のたびに探し直す手間がなくなります。

確認項目

見るポイント

①共通テストの利用有無

合否判定に用いるか/入学後の学修目安か。

②課される教科・科目

情報Ⅰの有無、選択科目のパターン、必要科目数。

③配点比率

共通テストと書類・面接・独自試験の配点バランス。

④出願・合否の時期

合否が年明けになるか。共通テスト後まで対策が続くか。

⑤専願・併願の可否

合格時の入学義務、一般選抜との併願可否、出願要件(評定・資格)。

合否を分けるのは「共通テスト形式の演習量」

共通テスト利用型は、結局のところ共通テスト本番でどれだけ得点できるかで決まります。書類や面接で好印象でも、共通テストの得点が届かなければ合格は難しく、逆に共通テストで安定して得点できれば有力な合格ルートになります。だからこそ、夏から秋にかけて共通テスト形式の演習を計画的に積ませることが効果的です。指導の設計例を挙げます。

  1. 夏(〜9月):課される科目を確定し、基礎の抜けをつぶす。マーク式に不慣れな生徒には、時間配分より先に「設問形式に慣れる」ことを優先。
  2. 秋(10〜11月):本試・追試レベルの演習を科目横断で回し、弱点単元を特定。情報Ⅰなど新課程科目は演習素材が不足しがちなので、早めに教材を確保。
  3. 直前(12月〜本番):時間を計った通し演習で得点の安定化を図る。出願を終えた生徒ほど中だるみしやすいため、演習量の可視化でモチベーションを維持。

とはいえ、過去問を集めて教科ごとに演習教材を作るのは、入手・印刷・編集の手間が大きい作業です。共通テスト形式の問題を必要な単元・レベルで素早く取り出し、プリント化できる環境があると、演習の回転数が上がります。教材づくりの時短術は「共通テスト対策の演習プリント作成術」でも扱っています。

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まとめ|共通テスト利用型の指導3ステップ

共通テスト利用型の年内入試は、とくに国公立の学校推薦型で有力な選択肢です。2027年度要項が公表済みの大学では、横浜市立大学・小樽商科大学・東京海洋大学・静岡大学などが共通テストを課す学校推薦型を実施します。東京農工大学・大阪公立大学・名古屋大学・岐阜薬科大学などは要項の公表待ちで、公表され次第本記事に追記します。私立でも共通テスト利用の動きは広がっています。指導では次の流れを押さえましょう。

  • ①要項で確認:共通テストを課すか、情報Ⅰを含む科目・配点・専願併願を一次情報でチェック。
  • ②時期を把握:出願は年内でも合否は年明けになる方式を見落とさない。併願計画に反映。
  • ③演習を前倒し:共通テスト形式の演習を夏から計画的に。情報Ⅰ・マーク式の量を確保。

大学独自の教科テストで年内に合否が出る方式は、姉妹記事「基礎学力型・学科試験型を実施する主な大学まとめ」で整理しています。あわせて「年内学力型・基礎学力型対策の授業設計」もご覧ください。

※共通テストの利用有無・科目・配点・日程は大学および年度により異なります。本記事の大学別情報は、2026年7月時点で公表されている2027年度(令和9年度)の入学者選抜要項・公式発表にもとづきます。要項未公表の大学は公表され次第追記・更新します。出願前には必ず各大学の最新の募集要項および大学入試センター・文部科学省の発表をご確認ください。
出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」、独立行政法人大学入試センター、横浜市立大学「入学者選抜要項2027」、小樽商科大学「2027年度入学者選抜要項」、東京海洋大学「令和9(2027)年度入学者選抜要項」、静岡大学「令和9年度入学者選抜に関する要項」、東京農工大学「2027年度工学部学校推薦型選抜パンフレット」、大阪公立大学「2027年度入試情報(予告)」、宮崎公立大学「入試制度変更等の概要」ほか各大学公式入試情報。

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