入試制度・基礎知識

共通テスト「情報Ⅰ」の指導対応|配点の見極めと教材準備

2026.07.06 更新日:2026.07.23
共通テスト新課程で新設された「情報Ⅰ」への進路指導対応を高校教員向けに解説。初年度の結果、国立の約96%が必須としつつ大学ごとに異なる配点(0点〜10%)、私立の利用状況、志望校の配点比率を見極める指導のポイント、共通テスト形式の演習教材づくりまで整理します。

共通テスト「情報Ⅰ」新設の経緯と新課程の全体像

大学入学共通テストは2025年度(2025年1月実施)から新学習指導要領(新課程)に対応し、「情報」を含む7教科21科目体制へと再編されました。最大のトピックは、教科「情報」の新設と、その中核をなす「情報Ⅰ」の出題開始です。プログラミング、データの活用、情報デザイン、情報通信ネットワークといった内容が、初めて共通テストの一科目として全国の受験生に課されることになりました。

この背景には、2022年度からの高校新課程で「情報Ⅰ」が全員必履修の共通必履修科目になったことがあります。社会全体のデジタル化が進み、文系・理系を問わず情報活用能力が求められる時代に合わせて、大学入試でもその力を測る流れが生まれた、と整理できます。国立大学協会は2022年1月に「情報」を加えた原則6教科8科目を課す方針を打ち出しました(それまでは5教科7科目が原則で、実に21年ぶりの科目増となりました)。

共通テストを利用する年内入試(共通テスト利用型の総合型選抜・学校推薦型選抜)でも、当然この新課程が前提になります。つまり「情報Ⅰと新課程への対応」は、一般選抜の生徒だけでなく、共通テスト利用型の年内入試を目指す生徒の進路指導にも直結するテーマです。本記事では、情報Ⅰをめぐる現状を一次情報にもとづいて整理し、高校の先生が進路指導で押さえるべきポイントを、手順・生徒タイプ別・教材づくりの観点からまとめます。

「情報Ⅰ」初年度(2025年1月)の結果はどうだったか

初めて実施された情報Ⅰの平均点は、大学入試センターの中間集計で73.10点(100点満点)でした。試作問題に近い構成で、初年度としては極端な難化・易化に振れず、おおむね想定の範囲に収まったと報じられています。

ただし、初年度が73点前後だったからといって、恒常的に高得点科目だと決めつけるのは危険です。実際、翌2026年1月実施の共通テストでは情報Ⅰの平均点が前年より大きく下がった(中間集計で約60点台前半)と報じられており、年度による難易度の振れ幅は今後も想定しておくべきです。指導では「新科目だから怖い」でも「初年度が高得点だったから楽」でもなく、どの大学で・どれくらいの重みで使われるかを正しく把握することが出発点になります。

国立は約96%が「必須」――ただし配点は大学でバラバラ

国立大学の一般選抜では、募集区分のうち約96%で「情報Ⅰ」が必須とされています。共通テストを6教科8科目1000点満点で受験する場合、情報Ⅰは基本的に100点(全体の10%)です。しかし、ここで進路指導上もっとも注意したいのが「配点(得点換算)」です。受験科目として必須にするか、そして合否判定に何点分として使うかは、大学ごとに設定できるためです。

河合塾Kei-Netの集計によると、6教科8科目を課す国公立大を比較した場合、情報Ⅰの配点比率が共通テスト全体の10%未満(他教科より軽い扱い)とする大学が過半数(約55%)を占めます。学部系統でも差があり、「文・人文」「理」系では10%未満の大学が7割前後を占める一方、「社会科学」「工」「農」系では相対的に配点を重くする大学の割合が高い、という傾向が示されています。

さらに極端な例として、初年度の2025年度入試では受験は必須としつつ、点数化しない(配点ゼロ)とした大学もありました。代表例が北海道大学で、全学部で情報Ⅰを配点ゼロとし(同点者の順位決定にのみ活用)、徳島大学・香川大学も点数化を見送っていました。ただしこれらの大学はその後、順次「配点あり」へと方針を変更しており(北海道大学は2026年度入試から配点化、徳島大学・香川大学も点数化を予定)、年度ごとに扱いが動く前提で最新要項を確認することが欠かせません。

「配点比率」のイメージ(あくまで例・要確認)

同じ「情報Ⅰ必須」でも、合否への影響は大学によって大きく異なります。下表は配点比率のイメージを示したもので、具体的な数値・区分は大学・学部・年度により異なります。実際の指導では必ず各大学の最新要項でご確認ください。

タイプ

共テ全体に占める情報Ⅰの比率(目安)

対策上の位置づけ

配点ゼロ型

0%(受験は必須/同点時の参考等)

受験は必要だが得点への直接影響は小さい。ただし年度変更に注意。

軽め型

10%未満(縮小換算など・国公立で最多層)

主要教科を優先しつつ、失点しない最低ラインを確保。

標準型

10%前後(100点満点をそのまま算入)

1教科分としてしっかり得点計画に組み込む。

重め型

10%超(社会科学・工・農系などで見られる)

合否を左右しうるため優先度を上げて演習量を確保。

ポイントは、指導の第一歩を「必須かどうか」ではなく「配点比率がどのタイプか」に置くことです。同じ必須でも、上表のどこに位置するかで、生徒が情報Ⅰにかけるべき時間配分はまったく変わります。

私立大学の「情報Ⅰ」対応

私立大学では、共通テスト利用入試そのものが広く普及しており、情報Ⅰは主に共通テスト利用入試の選択科目の一つとして活用されています。共通テスト利用型で「地歴・公民・数学・理科・情報」などの中から高得点科目を採用する方式が多く、その選択肢に情報Ⅰが加わった、というのが実態に近い形です。

一方で、情報Ⅰを必須科目とする私立大はまだ少数(数%程度)にとどまり、多くは「選択科目として利用可」という位置づけです。したがって私立志望の生徒については、「志望校の方式ごとに、情報Ⅰが使えるのか/必須なのか/選択なのか」を一つずつ確認するのが現実的です。得意教科として情報Ⅰを高得点科目に据えられる生徒にとっては、共通テスト利用型でむしろ有利に働く選択肢になり得ます。

新課程「情報Ⅰ」を含む共通テスト形式の演習教材づくりには、指導者向けソフト「センターTen」が役立ちます。共通テスト+センター試験あわせて37年分の過去問を1本に収録し、新課程の「情報Ⅰ」にも対応。内容から問題素材を検索して必要な問題を選び、印刷・出力できるため、情報Ⅰを含む共通テスト形式の演習プリントや小テストを短時間で用意できます。

共通テスト試験問題データベース センターTen 2026|共通テスト+センター試験37年分を網羅・情報Ⅰ対応

「志望校の配点比率を見極める」進路指導の手順

情報Ⅰ指導の核心は、生徒一人ひとりの志望校で情報Ⅰがどれだけ重いかを見極め、限られた時間を最適に配分することにあります。次の5ステップで進めると、面談でも判断がぶれません。

  1. 志望校・方式を特定する:一般選抜か、共通テスト利用型の年内入試か。同じ大学でも方式で扱いが異なります。
  2. 情報Ⅰが「必須/選択/不要」かを確認:まず利用の有無を切り分けます。国立はほぼ必須、私立は選択が中心です。
  3. 配点比率のタイプを確認:配点ゼロ型/軽め型/標準型/重め型のどこかを、最新要項で確認します。ここが優先度判断の中心です。
  4. 演習計画に落とし込む:配点タイプに応じて、情報Ⅰにかける週あたりの演習量・時期を決めます。共通テスト形式に慣れる演習を計画的に組みます。

とくに複数校を併願する生徒では、第一志望と併願校で情報Ⅰの重みが違うことが珍しくありません。もっとも配点が重い志望校を基準に対策の下限を決めておくと、どの併願先にも対応しやすくなります。

生徒タイプ別・力の入れ方の目安

配点比率と生徒の得意・不得意を掛け合わせると、力の入れ方がはっきりします。以下は面談で使える整理の一例です(最終判断は志望校要項の確認を前提とします)。

生徒タイプ

志望校の情報Ⅰ配点

指導方針の目安

情報が得意

標準〜重め

得点源として伸ばす。私立共テ利用の選択科目でも武器にできる。

情報が苦手

軽め・ゼロ

主要教科を優先。情報は最低ラインを落とさない基礎固めに絞る。

情報が苦手

標準〜重め

早期に着手。基本用語・データ活用・簡単な擬似コードから積み上げる。

共テ利用型の年内入試志望

方式による

出願時期が早いため、夏までに共通テスト形式の演習を前倒しで計画。

ポイントは、苦手な生徒ほど「志望校の配点が軽いか重いか」で対応が正反対になることです。配点が軽ければ深追いせず主要教科に時間を回し、重ければ早期着手が必要になります。この見極めが、限られた時間の使い方を大きく左右します。

共通テスト形式の演習教材をどう用意するか

情報Ⅰは新科目のため、市販の過去問の蓄積がまだ多くありません。共通テスト利用型を受ける生徒には、共通テスト形式に慣れるための演習量をいかに確保するかが課題になります。とくに、資料やデータを読み取る問題、擬似言語(プログラム)を読む問題は、慣れが得点を大きく左右します。

とはいえ、教科ごとに問題を集めて演習教材を作るのは、入手・印刷・編集の手間が大きい作業です。日々の情報科の授業内容を、そのまま得点力に変えるには、授業と受験対策を接続する演習プリントや小テストを継続的に用意できる仕組みがあると効率的です。ここで、内容から問題素材を検索して選び、共通テスト形式の教材へまとめられる指導者向けソフト(センターTen)が役立ちます。マーク式演習の量を確保しつつ、生徒のレベルに合わせて出題を調整できます。

共通テスト試験問題データベース センターTen 2026|共通テスト+センター試験37年分を網羅・情報Ⅰ対応

よくある質問(Q&A)

Q. 「必須」と書いてあれば、しっかり対策が必要ということですか?

A. 必ずしもそうとは限りません。国立でも「受験は必須だが配点は軽い(または初年度は配点ゼロだった)」大学があります。必須の有無と配点の重みは別問題として、両方を最新要項で確認してください。

Q. 私立志望の生徒に情報Ⅰは関係ありますか?

A. 多くの私立では共通テスト利用入試の選択科目として使えます。必須とする私立はまだ少数です。情報が得意な生徒なら、高得点科目として共テ利用型で有利に働く場合があります。

Q. 共通テスト利用型の年内入試でも情報Ⅰは必要ですか?

A. 利用する共通テストの成績に情報Ⅰが含まれるかは大学・方式によります。年内入試は出願時期が早いため、夏までに共通テスト形式の演習を前倒しで計画しておくと安心です。関連記事「共通テスト利用型の総合型・推薦とは?」「共通テスト利用型の年内入試 実施大学まとめ」もあわせてご覧ください。

まとめ

「情報Ⅰ」は国立で原則必須となった一方、配点の重みは大学ごとに大きく異なります。進路指導では、①志望校・方式で情報Ⅰが必須/選択/不要かを確認 → ②配点比率のタイプ(ゼロ・軽め・標準・重め)を最新要項で確認 → ③生徒の得意不得意と掛け合わせて優先度を決定 → ④共通テスト形式の演習を計画的に、という流れで進めましょう。新課程は情報Ⅰだけでなく数学・理科・社会も変わっているため、全体像で捉えることも大切です。演習教材づくりの負担は、指導者向けソフトの活用で大きく軽減できます。

※共通テストの科目・配点・利用方法は大学および年度により異なります。本記事の平均点は2025年度入試の中間集計値、配点等の例は2025〜2026年度入試にもとづくものです。制度・対応は2027年度入試(令和9年度)に向けて更新されるため、情報Ⅰの必須・選択・配点比率は必ず各大学の最新の募集要項および大学入試センター・各大学の発表をご確認ください。
出典:大学入試センター、文部科学省、国立大学協会、河合塾Kei-Net(「情報入試をめぐる動き」等)、東進「大学別情報Ⅰ利用状況」、日本経済新聞、時事通信、リセマム、EdTechZine、テックジム 等。
参照URL:https://resemom.jp/article/2025/01/22/80415.htmlhttps://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE178MG0X10C25A1000000/https://www.keinet.ne.jp/teacher/report/kjreport/24/240805.htmlhttps://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/8539https://edtechzine.jp/article/detail/12708https://www.toshin.com/shingaku_info/shinkatei/search2.phphttps://techgym.jp/column/joho1/2026shiritsu/

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