2027年度入試から、総合型選抜・学校推薦型選抜で面接が原則必須化される見通しであることが示され、高校の進路指導の現場でも注目が集まっています。あわせて2026年度入試からは、一定の条件のもとで2月1日より前の学科試験の実施が認められる予定で、年内入試は「学力試験+面接」を組み合わせた選抜へと大きく姿を変えつつあります。本記事では、制度変更の概要と背景、高校の進路指導への影響、そして今から始めたい面接指導・学力対策の準備を、先生方の視点で整理します。
2027年度入試の制度変更の概要
今回の制度変更は、2026年度と2027年度の2段階で進む見通しです。まずは全体像を時系列で押さえましょう。
2026年度入試:2月1日以前の学科試験が条件付きで容認へ
従来、私立大学の一般選抜に相当する学科試験は2月1日以降に実施されるのが原則でした。2026年度入試からは、一定の条件のもとで2月1日より前の学科試験の実施が認められる予定です。これにより、総合型・学校推薦型選抜の中で基礎学力テストや学科試験を課す「年内学力型」の動きが、制度面からも後押しされる形になります。
2027年度入試:総合型・学校推薦型で面接が原則必須化の見通し
2027年度入試からは、総合型選抜・学校推薦型選抜において面接(口頭試問等を含む)が原則として必須化される見通しです。書類選考のみで合否を決める方式が見直され、志願者本人と対面して意欲・適性を確認するプロセスが、年内入試の標準要件になる方向と考えられます。
年度 | 変更内容(見通し) | 高校側への影響 |
|---|---|---|
2026年度入試 | 一定の条件のもとで2月1日以前の学科試験実施を容認 | 年内学力型(基礎学力テスト型)の拡大。学力対策の前倒しが必要に |
2027年度入試 | 総合型・学校推薦型で面接を原則必須化 | 面接指導の対象者が拡大。指導体制の整備が必要に |
最終的な内容は各大学の募集要項で確認を
本記事の内容は現時点での制度変更の見通しに基づくものです。実際の選抜方法・実施時期は大学・学部ごとに異なるため、各大学が公表する入学者選抜要項・募集要項を必ず確認してください。
なぜ変わるのか:制度変更の背景
今回の変更の背景には、年内入試の量的な拡大があります。私立大学では入学者の半数以上が総合型・学校推薦型などの年内入試で進学しており、年内入試は今や大学入試の主要ルートです。規模が拡大する中で、次の2つの課題への対応が求められてきました。
- 学力担保:書類中心の選考では入学後の学修に必要な基礎学力を確認しにくい、という指摘への対応。学科試験・基礎学力テストの活用を制度面から可能にする動きです。
- 多面的評価の質向上:総合型・学校推薦型の本来の趣旨である「意欲・適性の多面的な評価」を、書類だけでなく面接を通じて確実に行う、という方向性です。
つまり今回の変更は、年内入試を縮小するものではなく、「学力の確認」と「面接による多面的評価」の両方を備えた選抜へ質を高める動きと捉えられます。年内入試の制度全体の基本は年内入試とは?総合型・学校推薦型の解説記事で整理しています。
高校の進路指導への影響
制度変更が見通しどおり進んだ場合、高校の進路指導には主に次の影響が考えられます。
面接や学力試験への対策は高3から始めるものと思われがちですが、年内入試を視野に入れる場合、準備は高1・2年のうちから始まっています。総合型・学校推薦型で問われる探究学習の成果や活動実績は短期間では作れず、評定平均が出願要件になる場合は高1からの定期テストの積み重ねがそのまま評価対象になります。また、学力試験や共通テスト利用型を課す大学が志望校に含まれる場合は、高1・2のうちから各教科の学習を疎かにしないことが、高3での対策の土台になります。
面接指導の対象者が大幅に増える
これまで書類中心だった方式にも面接が加わる見通しのため、面接指導が必要な生徒の数が増えます。担任・進路指導部・学年団のどこで誰が面接練習を担当するのか、指導が特定の先生に集中しない体制づくりが課題になります。
「書類・面接対策」と「学力対策」の両立が前提になる
学科試験・基礎学力テストを課す大学が広がれば、年内入試の受験生にも教科学習の継続が欠かせなくなります。志望理由書や面接の準備に集中するあまり教科学習が止まる、という従来の課題は、制度上も許されなくなっていくと考えられます。指導計画の段階から、書類・面接対策と演習の時間配分を設計しておく必要があります。
年間スケジュールの前倒し
面接練習と学力演習の両方を秋に詰め込むのは現実的ではありません。高3の1学期から自己分析・大学研究を進め、夏休みに書類の第一稿と基礎固め、9月以降に面接練習と実戦演習、という前倒しの年間設計が有効です。
「学力試験+面接」型への対策設計
新しい標準形になる見通しの「学力試験+面接」型に対しては、次の3ステップで指導を設計すると整理しやすくなります。
※以下の進め方は高3年次の動きが中心です。前提として、探究学習・各教科の学習・定期テスト対策といった土台づくりは高1・2年生から必要です。
志望大学の選抜方式を分解する(〜夏)
募集要項・過去の実施例から、評価要素(書類・面接・小論文・基礎学力テストなど)と配点・実施時期を一覧化します。生徒ごとに「何をいつまでに仕上げるか」を可視化することが出発点です。
書類・面接対策と学力演習の時間割を決める(夏〜秋)
週の中で「書類・面接の日」と「演習の日」を分けるなど、両立の時間割を先に固定します。放課後や長期休暇の講習に基礎学力テスト対策の演習枠を組み込む学校も増えています。
直前期は実戦形式で統合する(選考1ヶ月前〜)
模擬面接と時間を計った過去問演習を並行し、本番の日程に合わせて仕上げます。面接で書類や答案の内容を深掘りされる場面を想定し、口頭で説明する練習も組み込みましょう。
面接指導のポイント:模擬面接と評価観点の共有
面接指導の対象者が増えると、指導の質を保つ仕組みが重要になります。ポイントは「模擬面接の回数の確保」と「評価観点の共有」の2つです。
- 模擬面接は1人3回以上を目安に、日程を早めから予約制で確保する
- 評価観点(志望動機の具体性・学部理解・質問への応答・態度など)をルーブリック化し、担当教員間で共有する
- 志望理由書・小論文の内容と面接での発言に一貫性があるかを必ず確認する
- 録画や相互観察を取り入れ、生徒自身に改善点を言語化させる
- 想定問答の暗記ではなく、「自分の言葉で語り直せる」状態をゴールにする
評価観点の共有が指導のばらつきを防ぐ
面接指導を複数の先生で分担する場合、観点の共有がないと助言の方向がばらつき、生徒が混乱します。観点表を1枚用意して「今日はどの観点を鍛える回か」を決めて臨むだけでも、指導の質は安定します。
学力面の演習準備:過去問演習を早めに組み込む
基礎学力テスト・学科試験への対策は、志望大学の出題形式に近い問題での演習が基本です。教科書レベルの基礎の総復習から始め、9月以降は過去問や類似形式の問題で時間配分の練習へ移行する流れが立てやすいでしょう。複数大学・複数科目の演習教材を揃える負担が大きい場合は、入試問題データベースを活用して形式や科目から問題を選ぶと、教材準備を効率化できます。年内学力型の出題傾向と演習計画の詳細は年内学力型・基礎学力型入試の対策と授業設計で解説しています。
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編集部より
制度変更の報道が続くと「また対応事項が増えるのか」と感じられるかもしれません。ただ、面接必須化の見通しは、多くの高校がすでに実践してきた面接指導・学力指導の価値が制度面から裏付けられる変化ともいえます。今の指導体制を棚卸しし、足りない部分を少しずつ整えることが現実的な備えです。
よくある質問
Q. 2027年度入試の面接必須化は決定事項ですか?
A. 現時点では「原則必須化される見通し」であり、具体的な実施方法は大学ごとの入学者選抜要項で示されます。方向性を前提に準備を進めつつ、志望大学の最新の公表情報を必ず確認してください。
Q. 面接が苦手な生徒への指導はどこから始めればよいですか?
A. いきなり模擬面接をするのではなく、志望理由書の内容を口頭で説明する練習から始めるのが有効です。「書いたことを自分の言葉で話す」段階を挟むことで、質問への応答にも自然につながります。
Q. 学科試験と面接の両方を課す大学では、どちらの対策を優先すべきですか?
A. 配点や選考プロセスは大学により異なるため一概にはいえませんが、学力は短期間で伸ばしにくいため、教科学習・過去問演習を早めに始め、面接練習は書類完成後の9月以降に集中させる進め方が一般的です。
Q. 2026年度入試を受ける現高3生に影響はありますか?
A. 2026年度入試では、一定の条件のもとで2月1日以前の学科試験実施が認められる予定です。志望大学が基礎学力テスト等を導入・拡大する可能性があるため、募集要項の選考方法欄を例年以上に丁寧に確認しましょう。
まとめ
本記事の重要ポイント- 2027年度入試から総合型・学校推薦型で面接が原則必須化される見通し
- 2026年度入試からは条件付きで2月1日以前の学科試験実施が容認される予定
- 背景は年内入試の学力担保と多面的評価の質向上。「学力試験+面接」型が新しい標準形に
- 高校では面接指導の体制づくりと、学力対策との両立設計が課題になる
- 模擬面接の回数確保と評価観点の共有、過去問演習の早期スタートが備えの軸
制度変更の詳細は今後も大学ごとに公表が続く見通しです。年内入試ラボでは、最新の制度動向と先生方の進路指導に役立つ対策情報を、継続的にお届けします。



