年内入試対策

プレゼンテーション型面接の指導法|構成・資料づくり・練習メニューと評価表(2027年度 総合型・学校推薦型選抜対応)

2026.10.30 更新日:2026.10.30
総合型・学校推薦型選抜でプレゼンテーションが課される生徒への指導法を、実施要項上の位置づけ、大学が見ている観点、5〜10分の標準構成、資料づくり、4週間の練習プログラムとともに整理し、構成シート・評価表・想定質問20問をまとめました。

プレゼンテーション型面接の指導で最初に押さえたいことは、「上手に話す練習」ではなく、「結論と根拠を決められた時間で伝え、質疑に応じる型」を身につけさせることです。2027年度入試(令和9年度)からは総合型選抜・学校推薦型選抜で面接が原則として課され、文部科学省の実施要項は、その面接にプレゼンテーションが含まれることを明記しています。本記事では、制度上の位置づけと大学が見ている観点を整理し、5〜10分の標準構成、資料づくり、4週間の練習プログラム、構成シート・評価表・想定質問20問をまとめました。

現場の課題

生徒ごとにテーマも資料も異なるため、内容の添削と話し方の指導を先生が同時に担うことになります。また、生徒の労力が「スライドの作り込み」に偏り、構成と質疑応答の準備が不十分なまま本番を迎える例も少なくありません。

総合型・学校推薦型選抜におけるプレゼンテーションの位置づけ

文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」では、総合型選抜・学校推薦型選抜のいずれについても、「志望する学問分野に対する意欲や適性等に係る面接(ディベート、集団討論、プレゼンテーション、口頭試問等を含む。オンラインによる実施を含む。)による評価を必ず行う」と定められています。また、小論文・面接等の活用について述べた箇所では、「自らの考えを論理的・創造的に形成する思考・判断の能力」や「思考・判断した過程や結果を的確に、更には効果的に表現する能力」を含む能力・適性等を多角的に評価・判定するため、プレゼンテーション等を活用することが望ましいとされています。つまり、プレゼンテーションは実施要項上「面接」の一形態であり、考えを形成する過程と表現する力の両方を見る方法です。

ただし、プレゼンテーションを課すかどうかや、時間・形式・評価基準は大学ごとに異なります。本記事の型や評価表は、出願先の2027年度募集要項に合わせて調整してください。制度変更の全体像については、【2027年度入試】総合型・学校推薦型で面接が原則必須化へ|制度変更のポイントと高校の準備をご覧ください。

大学が見ている観点と「学力の三要素」の対応

実施要項では、学力の三要素を「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度」と表記されています。プレゼンテーションで一般に見られる観点を学力の三要素に対応づけると、次のとおりです。

観点

発表の中で表れる行動

対応する学力の三要素

テーマ理解

問いを自分の言葉で言い換え、なぜ重要かを説明する

思考力・判断力・表現力等

論理構成

論理の飛躍がなく、結論→根拠→提案の順で話を進める

思考力・判断力・表現力等

根拠

調べた事実や活動の記録を、出所とともに示す

知識・技能

表現

資料と話を対応させ、聞き手に視線を向けて、適切な声量・速さで話す

思考力・判断力・表現力等

質疑応答

質問の意図を確認し、分からない点は認めたうえで考えを述べる

主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度

時間管理

指定時間の中で結論まで到達する

思考力・判断力・表現力等

集団討論と比べると、プレゼンテーションでは「根拠」と「質疑応答」の比重が大きくなりやすいため、指導時間は質疑応答の練習に多く割り当てることが効果的です。配点や基準は大学ごとに異なるため、生徒には一例として示します。

プレゼンテーションの型|課題提示型と自由型、標準構成、原稿

課題提示型と自由型の違い

本記事では便宜上、プレゼンテーションの形式を2つに分けて説明します。課題提示型は大学がテーマを指定する形式(事前提示・当日提示)で、志望分野の基本的な知識と、限られた情報から考えを組み立てる力が問われます。自由型は探究の成果や志望理由を生徒が自分で題材に選ぶ形式で、「なぜ取り組み、何が分かり、大学で何を続けたいか」の一貫性が問われます。自由型の場合は、志望理由書を仕上げてから構成に入る順序で指導してください。

5〜10分の標準構成

基本形は次の5部構成です(括弧内は7分の発表の目安。5分であれば背景と今後を短くし、10分であれば根拠を2つに分けます)。

  1. 結論(30秒〜1分):「私が伝えたいことは〇〇です」と最初に言い切る。
  2. 背景(1分):なぜこのテーマを選んだのかを述べる。自分の経験や地域の状況など、聞き手が関心を持てる入口を示す。
  3. 根拠(2〜3分):調べたこと、取り組んだこと、分かったことを述べる。数字や出所を示し、図表はこの部分で使う。
  4. 提案・考察(1〜2分):根拠から何が言えるかを述べる。自分の考えと事実を分けて話す。
  5. 今後(30秒〜1分):大学で何を学び、どう続けるかを述べる。最後に結論をもう一度述べて締めくくる。

原稿の作り方

原稿は、話す速さを1分に300字程度とする目安から、7分の発表であれば2,000字程度を上限とします。手順は、①構成シート(後述)に各部の要点を一文ずつ書く、②話し言葉に展開する、③声に出して読み、言いにくい語や長い一文を短く区切る、④暗記するのは冒頭の結論と各部の最初の一文だけにし、残りはキーワードのメモを見て話す、の4段階です。全文を暗記すると、途中で詰まった際に立て直すことが難しいため、内容を言い換えられる状態を目指します。

資料づくり|スライド・ポスター・紙資料の使い分け

枚数・形式・持ち込みの可否は大学ごとに指定が異なるため、作り始める前に、募集要項と出願後の案内で確認させてください。

形式

向いている場面

注意点

スライド

大学が投影機器を用意し、枚数や形式を指定している場合

ファイル形式・持ち込みの媒体・動画の可否を確認する。7分の発表で5〜8枚程度が目安。表示できない場合に備えて、紙でも用意する

ポスター

1枚で全体を示すよう求められている場合

離れていても読める文字の大きさにする。読む順序を番号で示す

紙資料(配付)

面接官の手元で見てもらう形式の場合、機器が使えない場合

1〜2枚に収める。「〇ページをご覧ください」と口頭で誘導できるように、探しやすい表記にする

形式を問わず共通する基準は、次の3点です。

  • 1枚1メッセージ:見出しは「〇〇の現状」ではなく、「〇〇は3年間で減少した」のように結論で書く。
  • 文字量:原稿をそのまま貼り付けない。資料と話が同じ文字だと、面接官の注意が資料を読むことに向き、話への注意が薄れやすくなる。
  • 図表:題と出所を添え、強調したい1か所だけを色や枠で示し、数値は読み上げる。

練習メニュー|4週間プログラム

試験の4週間前から始める、週ごとの計画の例です。実施要項では、出願受付を学校推薦型選抜は11月1日以降、総合型選抜は9月1日以降としているため、出願先の試験日から逆算して開始する週を決めます。

週

目標

生徒の活動

先生の関わり

第1週

構成を固める

構成シートを記入し、結論と根拠を口頭で2分間説明する

構成シートの添削

第2週

原稿と資料を作る

原稿を書き、資料の下書きを作る。声に出して読み、時間を計る

1枚1メッセージになっているかの確認、募集要項の指定との照合

第3週

通し練習と質疑応答を行う

録画して自己評価する。想定質問で質疑応答の練習を2回以上行う

評価表に記録し、質問役を担う

第4週

本番形式に取り組む

本番と同じ時間・機器・入退室の手順で通す

他教科の先生に面接官役を依頼し、初見の質問を出してもらう

録画と自己評価:第3週以降は毎回録画し、録画したものを見て生徒が評価表で自己評価してから、先生の評価と突き合わせます。確認する点は、「時間」「資料と話の対応」「視線」に絞ります。

質疑応答の想定問答づくり:想定質問20問から生徒に10問を選ばせ、「結論一文+根拠一文」で答えを書かせます。目的は暗記ではなく、「意図の確認→結論→根拠」の順で答える型を身につけることです。答えられない質問に対して、分からないことを認めたうえで考えを述べる練習も取り入れます。

時間超過の対処:時間超過の原因として多いのは、「背景」と「根拠」の話し過ぎです。原稿に「削ることができる文」の印を付けておき、残り1分の合図で「提案・考察」に移る練習をします。時間が余る生徒には、具体例を一つ加える準備をさせます。

ここまでの練習計画は、高3の出願前を想定したものです。高1・2の段階から探究の中間発表や授業内の発表で「結論→根拠→提案を1分で話す」練習を繰り返し、活動の記録(日付・内容・分かったこと・出所)を蓄積しておくと、高3の準備を構成の確認から始めることができます。

そのまま使える資料

1. 構成シート

第1週に生徒が記入し、先生が添削します。各欄は一文で書かせます。

欄

記入する内容

先生の確認点

テーマ(問い)

指定されたテーマ、または自分で設定した問い

問いの形になっているか

結論

最も伝えたいこと

問いへの答えになっているか

背景

きっかけ、現状の課題

聞き手が関心を持てる入口になっているか

根拠1・2

事実・データ・活動の記録と、その出所

出所を示せるか。考えと事実を区別しているか

提案・考察

根拠から言えること、解決策

論理の飛躍がないか

今後

大学で学びたいこと、続けたいこと

志望理由書と矛盾がないか

想定される反論

面接官から指摘されそうな弱点(一つ)

質疑応答の準備につながるか

2. 評価表(ルーブリック)

観点ごとに4段階で記録します。発表中は事実をメモし、段階づけは終了後に行うことで、生徒の観察に専念でき、より正確な評価につながります。

観点

4(十分)

3(おおむね十分)

2・1(改善が必要)

テーマ理解

問いを言い換え、重要性を説明している

問いに答える説明をしている

問いと異なる内容を説明している

論理構成

論理の飛躍がなく、結論→根拠→提案の流れで進めている

結論→根拠→提案の流れで進めている

結論が最後まで示されないまま進めている

根拠

事実と出所を示し、自分の考えと区別している

事実と出所を示している

事実や出所がなく、感想や印象にとどまっている

表現

資料と話を対応させ、聞き手に視線を向けて安定した声量で話している

資料と話を対応させながら、聞き手に視線を向けようとしている

視線が聞き手に向かず、原稿を見続けている

質疑応答

質問の意図を確認し、結論→根拠の順で簡潔に答えている。不明点は認めたうえで考えを述べている

結論→根拠の順で答えている

質問から外れた回答をしている、または沈黙が続いている

時間管理

時間配分を考えて、指定時間内に結論まで到達している

指定時間内に結論を述べている

指定時間を超過している、または結論に到達していない

3. 想定質問リスト20問

  • テーマ理解:①テーマを選んだ理由は ②結論を一文で言い直すと ③志望学部とどう関係するか ④最も難しかった点は
  • 根拠・方法:⑤その数字(資料)の出所は ⑥調べた方法の限界は ⑦別の見方をすると違う結論にならないか ⑧一番の根拠を一つ挙げると
  • 提案・考察:⑨提案に反対する人がいるとすれば、どのような理由か ⑩実行するうえで一番の障壁は ⑪高校生の自分にできることは ⑫効果はどう確かめるか
  • 過程・協働:⑬誰と協力したか ⑭うまくいかなかったことと、そこから学んだことは ⑮周囲の助言をどう反映したか ⑯途中で計画を変えたことは
  • 今後・志望:⑰大学でどう続けるか ⑱本学で学ぶことで考えはどう深まるか ⑲今日話せなかったことで伝えたいことは ⑳この発表を一言で言うと

4. 練習の振り返りシート

録画したものを見た直後に、生徒が10分で記入します。

  1. 発表時間と、指定時間との差
  2. 結論を最初に言えたか。最後にもう一度言えたか
  3. 質疑応答で「意図の確認→結論→根拠」の順で答えられた質問と、答えられなかった質問
  4. 評価表の6観点のうち、今日の課題を一つ選ぶ(資料の読み上げ、視線など)
  5. 次回試みる行動を一つだけ決める(例:根拠の出所を口頭でも述べる)

ケース別の判断

テーマが当日提示される場合:事前に準備できるものは「型」です。「問いの言い換え→結論→根拠2つ→提案」の順で、準備時間内にメモを作る練習を繰り返します。根拠は志望分野の基本的な知識と自分の経験から示すことになるため、志望学部に関わる基本用語や論点を、高3の夏までに整理させておきます。

資料の持ち込みが認められない場合:「これから3点お話しします」「1点目は…」と番号で区切る話し方を徹底します。図表で示す予定だった数値は、「3年前と比べて…」のように比較の形で口頭で説明します。

オンラインで実施される場合:実施要項には、面接に「オンラインによる実施を含む」と明記されています。画面共有の可否、資料の事前提出の要否、使用するツールを募集要項で確認し、通し練習を1回はオンラインで行います。カメラに目線を向けて結論を述べること、通信が切れた場合の連絡手段を確認しておくことの2点は、最低限押さえておきます。

話すことが苦手な生徒の場合:目標を「冒頭の結論の一文を、顔を上げて言い切る」の一つに絞ります。残りはメモを見てよいと伝えると、緊張が和らぐ場合があります。話す速さを調整することで、声量が安定する場合もあります。

探究の成果が途中までの場合:結果が出ていないこと自体が、不利になるとは限りません。「何が分かり、何が分からず、次に何をするか」を正直に構成し、「今後」の部分を充実させて、大学での継続につなげます。途中で終わった理由は質疑応答で問われやすいため、想定質問の⑭と⑯を生徒に重点的に準備させます。

個人面接や集団討論が同日に課される場合:発表内容が個人面接で問われる可能性があるため、志望理由書と発表内容から想定問答を作り、練習しておきます。集団討論の指導については、集団討論・グループディスカッション指導|進行台本と評価表つき(2027年度 総合型・学校推薦型対応)をご覧ください。

よくある質問

Q. スライドの見た目が優れていれば、評価は上がりますか?

A. 評価基準は大学ごとに異なるため一概には言えませんが、実施要項がプレゼンテーション等を活用して評価するものとして挙げているのは「思考・判断の能力」や「表現する能力」であり、資料の装飾ではありません。構成と根拠、質疑応答の準備に時間を配分させてください。

Q. 生徒が選んだテーマについて、指導する先生が詳しくない場合はどうすればよいですか?

A. 内容の正確さについては、生徒が参照した資料の出所を一緒に確認することで点検できます。先生は構成と論理、質疑応答の型を重点的に指導し、専門的な内容については、関係する教科の先生に確認を依頼する方法もあります。

Q. 質疑応答で答えられない質問が出た場合、どのように対応させればよいですか?

A. 「その点はまだ調べていません」と認めたうえで、「ですが、〇〇の点から〇〇と考えます」と述べる型を生徒に練習させます。限界を認めたうえで考える姿勢は、学力の三要素のうち「主体性を持ち、多様な人々と協働しつつ学習する態度」に沿った応答になると考えられます。

まとめ

プレゼンテーションは、2027年度入試の実施要項で「面接」の一形態として明記された方法であり、考えを形成する過程と表現する力を併せて見る場です。指導の要点は、課題提示型か自由型かを募集要項で確認し、5部構成を構成シートで固め、資料は1枚1メッセージに抑え、4週間のプログラムでは質疑応答の練習に多くの時間を割り当てることです。評価基準は大学ごとに異なるため、評価表は出願先の募集要項に合わせて調整し、生徒が「結論と根拠を、決められた時間で、聞き手に向けて話せる」状態を目指しましょう。年内入試全体の仕組みについては、年内入試とは?大学受験の新しいスタンダードをご覧ください。

参考・出典

※ 本記事は2026年10月時点の公表情報に基づいています。プレゼンテーションの実施の有無、時間・形式・資料の指定、評価基準は、大学・学部ごとに異なります。出願先の2027年度(令和9年度)募集要項で必ずご確認ください。本記事の構成・評価表・想定質問は指導用の一例であり、特定の大学の評価基準を示すものではありません。「1分に300字程度」は話す速さの一般的な目安であり、生徒に応じて調整してください。最終更新:2026年10月

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